ヒアルロン酸注射はもう不要?美肌は自分の“幹細胞”でつくる!

幹細胞

再生医療と聞くと、病気やケガの治療に応用されているニュースをよく耳にしますが、実は美肌治療としての再生医療も一部のクリニックで受けることができます。

肌の再生医療は、薬剤を注入したり、熱ダメージの創傷治癒効果による若返りを狙うマシン治療などの従来の美容医療とは全く異なり、自分自身の組織などを利用することで自らの再生力を高め、結果に結びつけようとする治療になります。自分の血液を利用した「PRP療法」、幹細胞を培養する際にできる培養上清(成長因子などが豊富に含まれる上澄み液)を使った「サイトカイン療法」、そして自分の幹細胞を取り出して培養・増殖して肌に移植する「幹細胞移植」などがその代表的な例です。

なかでも今、医療業界や化粧品メーカーなどから注目を集めているのが、肌の「幹細胞」に着目した美肌治療です。この治療について詳しく解説します。

肌を作る幹細胞の種類

そもそも幹細胞とは、様々な細胞を生み出す能力をもった特別な細胞のことです。幹細胞には分裂して自分のコピーを生み出す「自己複製能力」と、自分とは異なる組織細胞に変化する「分化能力」の2つの能力が備わっています。

私たちの身体を形作る細胞は何兆個にも及び、大半の細胞が決まった期間で生まれては死ぬといった周期(ターンオーバー)をくり返しています。幹細胞は「自己複製能力」と「分化能力」によって増殖と分化をくり返します。血液を造る「造血幹細胞」や、脳を構成する神経細胞を生み出す「神経幹細胞」、そして病原菌から身を守るため数週間毎に生まれては剥がれ落ちる「皮膚の幹細胞」など、それぞれ決まった役割を担っています。

皮膚の幹細胞には、表皮に存在して角質化細胞を生み出す「表皮幹細胞」、真皮に存在して線維芽細胞を生み出す「真皮幹細胞」があります。さらに皮膚の組織を構成する、脂肪幹細胞、色素幹細胞、毛包幹細胞、皮脂腺幹細胞などが知られています。

肌のエイジングには、主に「表皮幹細胞」と「真皮幹細胞」が関係しているとされています。

表皮幹細胞

表皮は皮膚の最外層に位置し、その大部分が表皮角化細胞(ケラチノサイト)で構成されています。「表皮幹細胞」は基底層で分裂して、分化しながら皮膚表面に向かって移動し、最終的に角層となります。バリア機能を果たした後には、剥がれ落ちるといったターンオーバーをくり返しています。

真皮幹細胞

真皮は表皮と皮下組織の間に存在し、潤いと弾力を保つ働きで肌を支えている部位です。線維状のタンパク質であるコラーゲンが大部分を占め、その間をゼリー状のヒアルロン酸が満たし、さらに線維状のタンパク質であるエラスチンも加わって、肌に弾力を与えています。
これらの線維や基質を生成する役割を果たすのが「真皮線維芽細胞」です。実は、この真皮線維芽細胞は「真皮幹細胞」が分裂して分化(変化)したものになります。

肌老化の原因

肌が衰える原因にはさまざまなものがありますが、主なものに加齢と紫外線が挙げられます。

加齢

人間の身体は「ヒト成長ホルモン」によって成長しています。これは脳の脳下垂体前葉でつくられており、思春期をピークに20代後半から急激に分泌が減少します。この減少によりさまざまな老化現象が起こると言われています。

年齢とともに新陳代謝能力も低下することで、ターンオーバーの周期が遅くなることが知られています。特に表皮のターンオーバーが乱れると、メラニンを含む角質が肌に残ってシミになったり、角質肥厚を引き起こしてニキビやくすみなどの原因になります。30〜40代のターンオーバーは45日周期とも言われており、年齢と共に傷やヤケドの跡が治りにくくなるのもそのためです。

また真皮では線維芽細胞の分裂能力も劣えるため、コラーゲンはヒアルロン酸の生成量も減少して弾力や潤いが失われ、シワやたるみの原因となります。

紫外線

紫外線が肌の衰えの原因となるのは周知の通りです。特に紫外線A波は真皮層まで届き、線維芽細胞をはじめコラーゲンやエラスチンといった弾力線維を破壊します。

若々しい肌のキーワードは幹細胞の「活性化」

上記のように加齢や紫外線は、線維芽細胞はダメージを与えて機能を衰えさせることが分かっています。
そこでダメージを受けた線維芽細胞に変わって、新しく元気な線維芽細胞を生み出すことができる「真皮幹細胞」や、ターンオーバーを司る「表皮幹細胞」を活性化させて本来の機能を取り戻し、若返りを図る治療が肌の再生医療になります。

真皮幹細胞を活性化

真皮幹細胞は、上層部の乳頭層と呼ばれる部位に存在し、そこを起点として組分化していることが伺える研究が2017年に発表されました※。分化の際に血管新生や創傷治癒に関わる機能的なコラーゲンとして知られている「タイプ 5コラーゲン」が高発現することから、このコラーゲンが真皮幹細胞の活性化に重要な役割を果たしていることが判明し、現在応用にむけての研究が進められています。

https://www.med.nagoya-u.ac.jp/medical_J/research/pdf/Journal_of_D_20171219.pdf

 

表皮幹細胞を活性化

表皮のターンオーバーを司る表皮幹細胞の衰えを活性化させる方法として、成長因子を与えるという方法があります。
特にEGF(表皮細胞成長因子)と呼ばれる成長因子は、新しい細胞の生成やダメージの修復を促してターンオーバーの周期を整える働きがあります。
このような成長因子を豊富に含む「サイトカイン(幹細胞を培養する際にできる培養上清)」を使って、若返りを図る方法が美容医療で行われています。

トラブルが報告されている幹細胞移植

真皮幹細胞を活性化させるダイナミックな方法として、自己の脂肪から採取した幹細胞を移植するという方法があります。ところが、顔が腫れるなどの副作用が100件近く起きていたことが明らかになり、この治療を行うクリニックは減少しています。

コスメとは違う再生医療の美肌パワー

当院で行われている美肌再生治療には、サイトカイン療法である「ステムサップ」と、線維芽細胞を活性化させる「線維芽細胞移植」があります。

サイトカイン療法では、同様の成分が配合された「幹細胞コスメ」とは異なり、角質の奥まで成長因子を届ける手法が採用されています。また、肌だけでなく体内からも若返りを図るために点滴による投与も行っています。さらに、サイトカイン療法は美肌治療だけでなく、毛髪再生療法にも採用されています。

※)ステムサップ
ステムサップ(脂肪由来幹細胞の培養上清)を使った美肌治療はこちら →

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