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今注目の幹細胞治療、その効果と受けられる病院は?

幹細胞 幹細胞治療とは

最近よく聞く「再生医療」という言葉、なんとなく概要は知っていても具体的には理解できていないという方も多いのではないでしょうか。再生医療とは病気やけがなどで損傷した組織の機能を細胞の力で取り戻す医療です。これまで治療法がなかった疾患の治療法にもなりうると再生医療の研究に対して大きな期待が集まっていますが、一方ではクリアすべき課題も残っています。では今現在どういった再生医療が医療の現場で行われているのでしょうか?

幹細胞について

再生医療で使用される細胞は幹細胞です。わたしたち人間の身体は1つの受精卵から始まった後はその後約37兆もの細胞になります。莫大な数の細胞の中には寿命が短いものや、ケガや病気で損傷してしまうものがあります。その損傷した細胞を補い、代わりの細胞となって人体を維持していく役割を持つのが幹細胞です。
幹細胞の中で再生医療に応用できる可能性がある細胞は3種類あります。

iPS細胞

京都大学の山中教授がノーベル医学生理学賞を受賞したことで良く知られていますが、体細胞に遺伝子を加え、人工的にあらゆる生体組織に成長できる多能性幹細胞を作り出したものです。まだ研究過程で実用化には課題がありますが、将来的には大きな期待が寄せられています。2014年には網膜の細胞を移植した臨床が行われ、2017年にはFOP(進行性骨化性線維異形成症)の候補薬の治験が始まっています。現在は加齢黄斑変性・パーキンソン病・脊髄損傷・糖尿病・血液製剤などの臨床適用が進行中です。

ES細胞

受精卵が胎児になる過程で分裂が始まった後の胚盤胞の中にある細胞を使用して培養したものです。iPS細胞同様あらゆる細胞になれる万能細胞ですが、受精卵を使用するということで倫理的な観点から見て、現在では実用化には至っていません。

組織幹細胞

ヒトの体内に元からある幹細胞には自分と同じ形の細胞を作り出す「自己複製能力」と他の組織細胞に増殖する「分化能力」の2つの能力があります。この能力を活かした幹細胞療法が、いま最もよく行われている再生医療の方法です。上記の2種類の細胞と違い、あらゆる細胞になれるわけではありません。しかし筋肉・骨・軟骨・脂肪・肝臓・肌などの部位に分化することは確認されています。

自己脂肪由来幹細胞療法とは、どんな療法?

体内に元からある幹細胞は骨髄の中に間葉系幹細胞が存在しますが、近年になって皮下脂肪内にも似た性質を持つ幹細胞が存在することがわかりました。脂肪由来幹細胞です。採取が容易で量も十分あるため治療に最適な細胞として使用されるようになりました。

自己脂肪由来幹細胞療法の方法は?

自己脂肪由来幹細胞療法では、最初に腹部などの皮下脂肪からほんの少量脂肪細胞を採取します。採取は局所麻酔で行い、かかる時間もわずかですが、採取した幹細胞を施設で培養するのに数週間かかります。その後培養した幹細胞を治療部位に投与します。例えば変形性膝関節症ならば、直接ひざに幹細胞を注射することで損傷した部位を幹細胞が修復するという治療法です。しかし、不調の部位に直接注射できる場所は限られています。そのため効率よく治療部位に幹細胞を届けるため、静脈点滴で血液に幹細胞をのせ、全身に行きわたる方法がよく行われています。

自己脂肪由来幹細胞療法にはどんな効果が望める?

血液に乗った幹細胞は全身に回る過程で、細胞が損傷している場所、不足している場所をパトロールしながら補充して回ります。これをホーミング効果と呼びます。患部を見つけると患部の組織の中でサイトカインを放出、細胞の修復を図ります。この修復により全身の機能が落ちた部位の回復が叶うのです。関節、皮膚、血管の若返り、糖尿病、歯周病のほか、年齢を重ねたことにより起こる症状全般に効果が高いとされています。とくに男女の更年期症状には大きな改善が見られています。
肺や肝臓、腎臓、心臓の疾患改善、脳や脊髄の損傷改善なども今後には大きな期待が寄せられています。

幹細胞療法ならば、ナチュラルで理想的な若返りが叶う

年齢を重ねたことで起こる全身の不調改善に役立つ自己脂肪由来幹細胞療法ですが、当然肌も若返ります。そのため美容の若返り目的で行う患者さんも多い療法です。肌のハリや潤いを支えているコラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸は20代を境に減少を続け、40代になる頃には総量が半分以下にまで減ってしまいます。それらを生み出す線維芽細胞自体も減少してしまうため、肌にはしわやたるみが発生してしまうのですが、幹細胞が肌に届けられると新たに線維芽細胞が生み出されます。その線維芽細胞がコラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸を新たに生み出し、肌の内側から自然に若さを生み出してくれるのです。これまであった外から足りなくなった成分を補充する方法とはまったく異なるため、ナチュラルで、本来の意味での若返りが叶います。

受けられる病院は、第二種再生医療計画番号を取得したクリニックのみ

夢のような若返りが叶うとあって多くの注目が集まっていますが、同時に化粧品やエステの世界でも幹細胞の名前が聞かれるようになりました。幹細胞は厚生労働省が認可し、第二種再生医療計画番号を取得した医療機関でのみ受けることができる特別な療法です。

幹細胞培養液と混同しないように

化粧品やエステで使用されているのは幹細胞を培養した時に抽出された培養液を使用したものです。名前が似ていても幹細胞そのものとはまったく異なるため、混同することのないようにしなければいけません。

動物系、植物系の幹細胞もある

また幹細胞培養液以外にも混同しやすいものとして、動物由来の幹細胞と植物由来の幹細胞があります。動物由来はヒトの幹細胞に近いとされている羊毛の毛根から採取した幹細胞を使用することが多いようですが、拒絶反応を起こす可能性もあり安全性の面から日本ではあまり使用されていません。植物由来は抗酸化作用がある特殊な植物の細胞を使用したものです。高い抗酸化力と保水力があると言われていますが、ヒト由来とは本質的に違うため、同じ系列で比較することはできません。

ヒト由来の幹細胞だけが、本来のナチュラルな若返りを叶えてくれます。ただしそれだけの効果を生むだけに幹細胞療法は手軽に受けることのできる施術とは違います。医療機関の中でもごく一部のクリニックだけで行うことができ、時間も費用も十分にかかる方法です。

今はまだ特別な幹細胞療法ですが、今後ますます幹細胞の力で多くの病気が治癒され、全身の若返りに応用される日が来るのを大いに期待したいところです。

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