肌は年齢を重ねると「たるみ」や「シワ」、「シミ」など、美を追求する女性にとっては、できればお目にかかりたくない症状が肌に現れます。
そのため、いつまでも若々しい肌でありたいと望んでいる女性も多いことでしょう。現在、美容医療の業界において、女性が若々しい肌を保ち続けられるよう、患者さまの細胞を活用した治療法や成長因子を利用した化粧品の開発など各分野において日々研究が進められています。
その中でも、「幹細胞」や「成長因子」、「線維芽細胞」は若返りにおいて活躍が期待されているモノで、各美容クリニックなどでも、これらを生かしたアンチエイジング治療が始まっています。
幹細胞や成長因子と若返りの関係性
幹細胞とは?
人の身体は約60兆個の細胞によって構成されていると言われており、60兆個の細胞が全部同じ細胞というわけではなく、多様な細胞の種類に振り分けられています。
赤血球や白血球、筋肉や神経などを身体のさまざまな機能を構成している細胞ですが、元は同じ細胞です。それが、「幹細胞」。
幹細胞は特殊な能力を持っており、いろいろな細胞に変化できる能力と全く同じ能力を持っている幹細胞を生成するという力を持っている細胞です。
■幹細胞には3つの種類
幹細胞には、主に3つの種類があり、「動物幹細胞」、「植物幹細胞」、「ヒト幹細胞」です。その中でも、ヒト幹細胞が再生医療の現場や美容業界で注目を集めています。
成長因子(グロースファクター)とは?
長因子とは、特定の細胞において、細胞分裂や細胞分化を促すタンパク質の1種です。成長因子にも多様に種類があり、肌に関連する成長因子は主に「上皮成長因子(EGF)」、「線維芽細胞増殖因子(FGF)」、「インスリン様成長因子(IGF)」の3つです。
■上皮成長因子(EGF)
こちらは、体を覆っている表皮や組織の粘膜などを構成する上皮などを生成する上皮細胞などに対して細胞の増殖を促す成長因子です。
そのほかにも、肌のコラーゲンなどを生み出す「線維芽細胞」などに対しても増殖効果を示すとされており、肌のシワやシミなどに対しての効果が期待されている成長因子です。
■線維芽細胞増殖因子(FGF)
FGFは、それを受け取る受容体に対して、指令を出す成長因子です。上述にもありますが、線維芽細胞自体、美の源のコラーゲンやヒアルロン酸などを作り出す力を持っており、我々の肌は、この線維芽細胞が活発に機能しているため、ハリなどが保たれています。
しかし、紫外線や老化と共にこの線維芽細胞も衰えてしまいます。そのため、FGFが線維芽細胞に対する役割が期待されているのです。
■インスリン様成長因子(IGF)
線維芽細胞や平滑筋細胞など他さまざまな細胞に対して増殖を促す成長因子です。
そのほかにも、肌には関係ありませんが、「脳由来神経栄養因子(BDNF)」や「血管内皮細胞増殖因子 (VEGF)」などさまざまな成長因子があり、各成長因子が、各受容体と結びつき役割を果たしています。
幹細胞と成長因子のアンチエイジングに対するアプローチ
美容業界においては、「ヒト幹細胞(厳密には脂肪由来幹細胞)」を培養した際に発生する培養液から生成した「幹細胞培養液」が注目されています。
その培養液にアンチエイジングに対する有効成分や成長因子などが豊富に含まれており、肌のハリの改善やシワやたるみの改善などに期待がされています。
美容クリニックなどでは、その培養液を肌や体内に対して投与することにより、細胞の活性化を促すといった治療が行われています。
培養液の元「脂肪由来幹細胞」
この細胞は、体性幹細胞の1種で、筋肉や骨、血管などになる力を持っている細胞です。
脂肪由来幹細胞は、皮下脂肪組織の中に存在する幹細胞で、他の幹細胞を抽出する方法よりも体への負担が少なく大量に採取できることから類似する骨髄由来幹細胞よりも有効性が示されています。
また、異常な免疫を調整する機能や炎症をコントロールする力も秘めていることから、美容だけではなく、さまざまな病気へのアプローチも期待されています。
先進的な治療「ステムサップ」
ステムサップとは、上述したように、脂肪由来幹細胞を培養した際にできる培養液を利用した治療法です。まず、培養液をシートマスクに塗布し、イオン導入を使い浸透させます。そのあとに、点滴により体内に取り込み治療完了。
これにより、細胞の活性化を図り、肌のハリやツヤの改善をします。肌の気になるシワやシミなどに適応できるとされており、レベルの高い治療法です。