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「幹細胞」の潜在能力は、採取にあり 何処から来て何処へ行くのか?

幹細胞 採取
採取

私たちのからだを形作る骨、筋肉、臓器、肌の髪の毛すべての元をたどると、たったひとつの細胞に行き着きます。それが“幹細胞”です。

“幹細胞”には、絶えず自分と同じ細胞を作る能力と、からだのあらゆる組織や臓器に変化できる能力が備わっています。からだのいたるところに存在している “幹細胞”。

そこで、代表的な再生医療で使用される幹細胞の採取方法や治療についてリストアップしてみました。

再生医療の強い味方“幹細胞”

元々、再生医療は、約50年前に造血幹細胞を移植する(骨髄移植)白血病の治療から始まりました。

そして現在も、幹細胞(間葉系幹細胞)を利用する白血病や再生不良性貧血などの血液の病気を始め、関節・軟骨などの整形外科の治療、歯科治療、美容医療の肌の再生治療などが実際に行われています。

・幹細胞の供給源

まず、再生医療で使用されるヒト由来幹細胞には、「同種異系幹細胞(他人)」と、あらかじめ本人から採取した「自己系幹細胞(自家)」が症状や治療法によって使い分けられています。

3つめのカテゴリーには、「異種幹細胞(動物由来)」のウシやブタの細胞を利用した治療があり、主に研究開発目的で使用されることが多いのですが、実際、軟骨損傷の治療などで、ウシのⅠ型のコラーゲンに自分の軟骨を混ぜて、それを戻すという治療にも利用されています。

いずれも、体外で人工的に培養された細胞をからだに移植し、臓器や組織などを再生する治療です。

・造血幹細胞を採取⇒「造血幹細胞移植」

造血幹細胞には、「血球(けっきゅう)」と「血漿(けっしょう)」という細胞成分があり、血球には、赤血球・白血球・血小板の3種類の細胞があります。それぞれ骨の中心部の「骨髄」でつくられ、必要に応じて絶えず自己複製と分化を繰返し健康を保っています。

【造血幹細胞移植】

造血幹細胞移植は、化学療法や免疫抑制療法だけでは治すことが難しい白血病や悪性リンパ腫、免疫不全症などの疾患に対して、造血細胞を移植して正常な血液をつくれるようにする治療です。

患者さんは、あらかじめ放射線治療や抗癌剤などを投与した後の状態によって、自分またはドナーの造血幹細胞を点滴や注射によって血管内に入れる方法になります。

【採取方法】

1_骨髄移植:骨の中にある骨髄から造血幹細胞を採取します。

2_末梢血幹細胞移植:白血球を増やす薬を使うことによって、末梢血にでてきた造血幹細胞を採取します。

3_臍帯血移植:赤ちゃんのへその緒から造血幹細胞を採取します。

【移植の供給源】

1_同種移植:健康なドナー(他人)から提供された造血幹細胞を移植する方法です。
*HLA(白血球の型)の一致度が高い方がよいとされます。HLAの一致確率が高い血縁者(兄弟、姉妹、親子など)から探し、見つからないときは骨髄バンクドナーや臍帯血ドナーから探します。

2_自家移植:患者さん自身の造血幹細胞を用いて移植する方法です。
*自分の幹細胞の移植なので、合併症などのリスクは少ないのが利点ですが、患者の腫細胞を攻撃する移植片対白血病効果(GVL効果)は期待できません。

【治療】

白血病・悪性リンパ腫・多発性骨髄腫などの血液悪性腫瘍・再生不良性貧血・骨髄異形成症候群などの血球をうまく作れなくなる病気・血小板減少症・血友病 など

・皮膚からの真皮幹細胞を採取⇒「肌再生医療」

肌再生医療は、ご自身の肌細胞を培養し必要な部位に注入移植することで、年齢で減ってしまった真皮のコラーゲンやエラスチンを作っている線維芽細胞を増やし、肌を再建させる治療法です。主に、美容医療分野で、しわやたるみの根本的治療を目的としています。
そして、培養したご自分の幹細胞を凍結保存することで、継続的なエイジングケア治療も可能となります。

【採取方法】

からだの中で紫外線などの影響が少ない耳の後の皮膚をわずかに採取し、国から認可を受けている専門機関で培養管理されます。1つの幹細胞から約10,000倍の豊富な線維芽細胞が確保されます。

【移植の供給源】

自家移植:患者さん自身の幹細胞を移植する方法です。自己細胞なのでアレルギーや副作用の心配がありません。

【治療】

*エイジングケア治療_目の下のクマ・ほうれい線・まぶたのくぼみ・額、眉間、目尻のシワ・口元のシワ、たるみ など
*肌質全体の改善_肌のターンオーバーの活性化・肌のくすみやシミの改善 など
*傷の損傷再建治療

・からだの脂肪を採取 ⇒「脂肪由来幹細胞移植」

脂肪の中にも多分化能を持つ幹細胞があることが分かってからは、骨髄に比べ採取が簡単で、組織量も豊富に存在することから「治療細胞」として再生医療の鍵を握る細胞として注目されています。

わずかに採取された脂肪を培養で増やし、良い状態の幹細胞を体内に点滴や局所注射により投与されます。さらに、投与された細胞から分泌される成長因子が、他の細胞にも良い影響を与えるとも言われています。

【脂肪由来幹細胞の多分化能】

 

【採取方法】

一般的な脂肪吸引によって、脂肪の多いお腹などから細い吸引管で水と一緒に脂肪を吸引します。脂肪吸引は、医師の手作業による施術が多く、ごく小さな切開で済むのでからだへの負担が少なくて済みます。

また、採取する細胞がわずかなため、痩せた方や高齢の方でも採取が可能とのことです。

【移植の供給源】

1_同種移植:健康なドナー(他人)から提供された脂肪由来細胞を移植する方法です。
*自己細胞を利用すると時間と高額な費用がかかるため、あらかじめ製剤化された脂肪由来幹細胞が多くあります。

2_自家移植:患者さん自身の脂肪由来細胞を移植する方法です。
*自分の幹細胞なので、合併症などのリスクが少ないのが特徴です。

【治療】

*整形外科_骨髄・骨・軟骨・筋肉・神経・変形性膝関節症などの創傷治療
*糖尿病・心筋梗塞・脳梗塞・肝機能障害・アレルギー疾患・関節リウマチ・膠原病などの免疫疾患
*乳がん術後の乳房再建・顔面変性疾患の再建治療
*美容皮膚科_シワ、たるみなどのエイジングケア治療・血行改善・傷の創傷治療・顔面変性疾患治療 など

・まとめ

再生医療では、安全性のリスクが高い順に第1種、第2種、第3種に分類され、再生医療を行う医療機関は、再生医療安全性確保法に基づき、国に計画を届け出ることが義務付けられています。

医療現場で行われている再生医療は、年間およそ3500件のデータがあり、その中でも第3種再生医療の歯科領域、美容医療、がん免疫細胞療法などの占める割合がほとんどのようです。

出典)
株式会社 シード・プランニング「再生・細胞医療研究の現状とビジネスの展望」調査(2016年)より
https://www.seedplanning.co.jp/press/2016/2016092701.html

 

「自己脂肪由来幹細胞」が注目される3つの理由

理由1 驚きの潜在能力

『脂肪は体内で唯一、脳神経系の支配を受けないユニークな器官。』と言われています。

脂肪由来幹細胞は、ほかの幹細胞に対する司令塔の役割りがあり、傷が生じた場所に集まった脂肪由来幹細胞は、血中を通じて骨髄幹細胞を呼び寄せたり、傷の近くにいる線維芽細胞にコラーゲンなどを作らせたり、傷を修復するために迅速な指示を出していると言われています。まるで、脳が異変に気付く前に、細胞同士が対応しているかのように思えてきます。

また、脂肪由来幹細胞、ヒト胎盤由来幹細胞、骨髄幹細胞をマウスの傷部分に塗ったところ、脂肪由来幹細胞が最も傷を治す作用が強く、治りもきれいだったとする研究も報告されています。

【幹細胞の傷修復力の比較】

出典)

日経BPヒット総合研究所 ライフコラムより

 

理由2 少ない負担で多くの幹細胞を採取

再生医療で病気を治療するには、何百万もの幹細胞が必要になります。脂肪由来幹細胞は、腹部などからわずかに脂肪を採取するだけなので、からだへの負担が少なく、その後培養され末梢血や骨髄に比べて100〜1000倍の量の幹細胞が確保できます。培養技術の向上もあり、活性化された良い状態の脂肪由来幹細胞の採取が可能になったことで、様々な疾患治療への応用が期待されているのです。

理由3 自分の脂肪細胞を使う安全性

人工的につくられるES細胞やiPS細胞と異なり、自分の幹細胞を投与するので、拒絶反応や副作用がないのです。投与後の発がん性の心配がなく安全性が高い幹細胞と言えます。

また、自分の細胞を利用することは、遺伝子操作などの倫理上の問題も。

まとめ

一度体内から取り出して培養した自己脂肪由来幹細胞は分化能力が高く、骨細胞、軟骨細胞、繊維芽細胞、骨格筋細胞、脂肪細胞などあらゆる治療に役立つ幹細胞です。しかも、安全性と十分な細胞数の確保が保証されている強みがあります。

現在も、自己脂肪由来幹細胞を利用した難病治療や製薬の実用化に向けて、臨床応用が急ピッチで進んでいます。

 

今まで余分だった“体脂肪”を使って、先鋭の再生医療に利用できる“脂肪由来幹細胞”が主役の一つに躍り出ようとしています。
体脂肪が気になる人には、なんだか嬉しいお話ですが、『健康な脂肪の脂肪幹細胞は機能性が高いが、肥満によって大きくなった脂肪は、その幹細胞の働きが落ちる。』という開発研究員によるコメントもあります。やはり肥満は大敵。
からだの健康維持が、これからの医療の役に立つかもしれない、という発想にも繋がりますね。

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