女性が毎日使う基礎化粧品。加齢によって肌の変化が感じられる30〜40代に、エイジングケアを意識したものに変えたという方が多いのではないでしょうか。
よく耳にするエイジングケア成分にコラーゲンやヒアルロン酸、プラセンタなどが挙げられます。最近では、医療分野で応用されているプロテオグリカンや、“塗るボトックス”と称されるアルジルリンなどが配合された美容液も。なかでも今注目されているのが、再生医療で応用されている「線維芽細胞」にアプローチした化粧品です。
線維芽細胞は肌にどんな影響を与えているのでしょうか。
エイジングケア目的に線維芽細胞が選ばれる理由
線維芽細胞は真皮層の中に存在し、肌のハリや潤いのもととなる真皮成分を生みだしています。以下に、線維芽細胞の働きをまとめてみました。
●美肌のもとであるコラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸をつくりだす
線維芽細胞には、コラーゲンやヒアルロン酸、エラスチンをつくる作用があります。
●古くなった成分を分解する
コラーゲンやヒアルロン酸、エラスチンが古くなると、それらを分解して新陳代謝を行います。
●細胞分裂をして線維芽細胞を増やす
線維芽細胞は自ら細胞分裂を行い、数を増やしています。数が増えることで真皮成分が十分に産生され、ハリと弾力のある肌をつくりだします。
●真皮の構造をつくる
線維芽細胞がタンパク質でできた線維状のコラーゲンやエラスチンを産みだし、ヒアルロン酸などの保湿成分をその中に抱え込むことで、弾力のある真皮構造をつくりだしています。
●新しい血管をつくる手助けをする
線維芽細胞はVEGFという細胞増殖因子を放出し、血管の内皮細胞に働きかけ、新しい血管をつくりだすサポートを行なっています。血管は周囲の肌に栄養と酸素を与えており、加齢によって消失すると、シワやたるみの原因になることが解明されています。
●肌を修復する
肌が傷ついた時に、線維芽細胞は大量のコラーゲンを生成して修復をサポートします。
このように線維芽細胞は肌の中で美しい肌の要因とされるハリや弾力の生成に寄与しています。ところが、年齢を重ねることで働きがだんだんと低下し、真皮成分の生成量が減少していきます。その結果、真皮組織はゆるんでしまい、肌のハリが衰えてシワがあらわれてしまうのです。
そこで、この線維芽細胞にアプローチすることで、上記のような結果が得られるのではないかと考えられて、さまざまな化粧品が登場するようになりました。
線維芽細胞にアプローチする化粧品とは?
現在、線維芽細胞をキーワードにしたエイジングケア化粧品が次々と登場しています。これらの化粧品は、大まかにいうと「線維芽細胞を活性化する成分を配合した化粧品」と「ヒト線維芽細胞由来成分を配合した化粧品」の2方向に大別されます。
●線維芽細胞を活性化する成分を配合した化粧品とは
線維芽細胞を活性化する成分には、以下のようなものがあります。
〈ビタミンC〉
ビタミンCは、水溶性で強い抗酸化力を持っており、線維芽細胞が活発に働く手助けをします。
〈レチノール〉
レチノールはビタミンAの1種で、油脂に溶ける脂溶性ビタミンのひとつ。繊維芽細胞を活性化させます。
〈プラセンタ〉
線維芽細胞増殖因子(FGF)が多く含まれている成分のひとつがプラセンタです。
〈EGF〉
EGFとは表皮細胞増殖因子(Human Epidermal Growth Factor)というアミノ酸の一種で、繊維芽細胞を活性化させます。
〈FGF〉
FGFとは線維芽細胞増殖因子(Fibroblast Growth Factor)のことで、繊維芽細胞そのものを増殖させる因子です。
このような成分を配合し、化粧品として肌に塗布することで線維芽細胞に働きかけます。国内外の有名化粧品メーカーもこの分野に着目し、独自に線維芽細胞に働きかける成分を研究・配合しています。
●ヒト線維芽細胞由来成分を配合した化粧品とは
線維芽細胞そのものは化粧品に配合することは認められていません。そこで、人間の線維芽細胞を培養した時に出てくる溶液(細胞を含まない)が配合されている化粧品が登場しています。この溶液にはコラーゲンやエラスチン、上記で述べたFGFなどが含まれています。
2018年現在、日本で手に入る製品はまだ少なく、アメリカ製や韓国製の化粧品が多く見受けられます。また主にエステサロンなどで流通・販売されています。
エイジングケアの期待が大きいこれらの化粧品ですが、実は肌に塗布しても効果はあまり期待できません。
その理由のひとつは、肌のバリア機能です。塗布した成分はバリア機能により角質層にとどまって、一番働いて欲しい真皮層までは届きません。上記の成分は全て肌の表面にとどまって「保湿」の役目のみ果たすことになります。
もうひとつの理由は「化粧品」であるということです。厚生労働省が定める薬機法では、一般的な化粧品にはシワやたるみを改善する機能をもたせてはいけないとされているのです。
線維芽細胞を増やす方法とは?
それでは線維芽細胞にはどのようにアプローチができるのでしょうか?
実は、線維芽細胞自体の数を増やしてエイジングケアを行う医療がもう始まっているのです。それが再生医療を応用した「線維芽細胞療法」です。
これは本人の「線維芽細胞」を採取したのちに、専用の施設で増殖・培養し、加齢の気になる部分に移植する治療法です。皮膚から約10,000倍に培養した線維芽細胞を移植するため、確実に量を増やすことができます。これにより加齢によってできた深いシワやたるみ、肌のくぼみなどの改善をめざします。まさに「再生美容」ともいうべき再生医療による美容治療です。
治療は厚生労働省に認可されたクリニックで
「線維芽細胞療法」はどのクリニックでも受けられる治療ではありません。組織の培養が必要なため、大掛かりな設備や専門技術者による培養技術が必要とされます。また、厳重な品質管理体制も問われるため、治療を受けることのできるクリニックは限定されているのです。
さらに再生医療を行う美容クリニックは、厚生労働省が認可した特定認定再生医療委員会に「再生医療等提供計画」を提出し、基準に適合しているかどうかの審査を受けなければなりません。認可が下りた美容クリニックには計画番号が授与され、再生医療施設として認められます。
なかには無認可で肌再生医療を行うクリニックもあり、治療を受ける前にそのクリニックのホームページなどで、認可されているかどうかを確認することが重要です。
●ナチュラルハーモニークリニック表参道は認可クリニックです
ナチュラルハーモニークリニック表参道では、「再生美容」として「線維芽細胞」を用いたエイジングケア治療をおこなっています。「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」を遵守し、再生医療第2種の提供計画書が受理されています。
線維芽細胞にアプローチしてしっかり結果を得たいという方には、化粧品ではなく医療での治療が適しています。無料カウンセリングや無料相談なども賢く利用してみてください。