病院や薬局で処方されたり、ドラッグストアで購入されたりする薬。すべての薬には、病気による症状を治したり軽くしたりする「主作用」と、本来の目的以外の望まない作用である「副作用」があります。例えば、花粉症の薬を飲むと鼻水やかゆみは止まったけれども、とても眠くなったといったようなケースです。
副作用が現れる原因はさまざまで、薬の作用、飲む量や飲み合わせなどと使い方、体質や体調などによっても出る場合があります。
それでは再生医療における副作用はどうでしょうか?
ここでは、更年期障害やアトピー性皮膚炎などの治療に多く使われている「脂肪由来幹細胞」の副作用について詳しく解説します。
再生医療に利用される「脂肪由来幹細胞」について
再生医療で利用される幹細胞には「iPS細胞」「ES細胞」「体性幹細胞」の3種類があり、そのなかで厚生労働省から唯一治療に使用が認められているのが「体性幹細胞」です。
「体性幹細胞」とはヒトの身体の中に存在し、筋肉・骨・軟骨・脂肪・肝臓・肌など決まった部位に分化する幹細胞のことです。なかでも脂肪組織などに存在して複数の組織に分化できる能力を持っている「脂肪由来幹細胞」を使った治療が、近年主流となってきています。これは、脂肪吸引によって比較的簡単に幹細胞を採取できること、なおかつ大量に採取できるといった理由が挙げられます。さらに「脂肪由来幹細胞」には、「iPS細胞」「ES細胞」のように癌化のリスクがありません。
そのため再生医療を行うクリニックでも、治療に多く使用されています。
「脂肪由来幹細胞」がもつ「主作用」
副作用についてご説明する前に、「脂肪由来幹細胞」による治療のメリット(主作用)についてご説明します。
幹細胞には免疫抑制因子や抗炎症因子を分泌する機能があります。さらに傷ついた細胞を見つけて修復する「ホーミング効果」と呼ばれる機能を有しています。
そのため、加齢で衰えた組織に再生を目的とした「更年期障害」の治療、免疫の暴走を抑制して炎症を抑えることを目的とした「アトピー性皮膚炎」の治療、関節内の炎症を抑えて関節軟骨の再生を目指す「変形性ひざ関節症」などの治療に応用されています。
「脂肪由来幹細胞」を使うメリットとしては、患者自身の幹細胞を培養して使うため高い安全性が期待できること、身体の負担が大きい大がかりな手術を行わなくても病気の根本治療が期待できることなどが挙げられます。
「脂肪由来幹細胞」がもつ「副作用」
再生医療がスタートしたばかりの2013年には、体性幹細胞治療によるトラブルが相次ぎました。
幹細胞を使った豊胸手術では、どの程度幹細胞を入れれば良いのか分からなかったため、期待されたほどバストアップしなかったり、乳房にしこりができるという副作用が現れました。また治療との因果関係は不明ですが、1例の肺塞栓症も報告されています。
その後、多数の患者の治療経過を観察し、2019年現在では治療方法も確立され、副作用も判明しつつあります。たとえば体性幹細胞は将来的に腫瘍を発生させる可能性が懸念されていましたが、これまで国内では1例の報告もありません。また治療によって子孫に対する遺伝的特徴が現れたと行った例も現在のところ見られていません。
もし、未知の副作用が現れた場合は、治療の改善のために関係学会への発表や報告などがおこなわれ、医療機関で情報を共有することになります。
「脂肪由来幹細胞」を使うには国の認可が必要
再生医療はまだ治療が始まったばかりの新しい医療です。そのため、各医療機関が自由勝手に行ってはどのような重篤な副作用が出るか分かりません。
そこで2013年に「再生医療を国民が迅速かつ安全に受けられるようにするための施策の総合的な推進に関する法律(再生医療推進法)」が交付されました。その後に具体的な施策が検討されて、2014年に「再生医療の安全性の確保等に関する法律(再生医療等安全性確保法)」と「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(医薬品医療機器等法)」が施行されました。
これにより、「脂肪由来幹細胞」を使った再生医療を行う医療機関は、厚生労働大臣に届け出を提出し、特定認定再生医療等委員会の認可を得ることが必要となりました。
一方、昨今の再生医療ブームを受けて「幹細胞」にあやかった商品やサービスが次々と登場しています。エステなどでケアを受ける際の美容液や、通信販売などの化粧品に「幹細胞」という名前が入ったものを見たことがあるという方もいらっしゃるでしょう。
実際に化粧品などに幹細胞が配合されているのであれば、当然国の認可が必要となり、さらに副作用も懸念されるところですが、その正体は「幹細胞を培養した際の液体」のことであり、そのなかに幹細胞は含まれていません。思い違いをしてしまいそうなネーミングですね。
幹細胞を使った治療やケアは、認可を受けた医療機関でした受けることができません。
そして、国の認可を受けた医療機関では、届け出にきちんと治療の副作用と副作用が出た際の対応を明記しています。
もし、あなたが幹細胞を使った治療に興味をお持ちであれば、その医療機関が認可されているかどうか、副作用についてどのように定めているかを調べてみることをおすすめします。
厚生労働省のホームページから確認することができます。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000186471.html
当院は、複数の再生医療において、厚生労働省から認可を受けているクリニックです
当クリニックでは、ご自身の脂肪細胞を採取して幹細胞を増殖・活性化を行い、点滴で投与して生体機能の向上を図る再生医療「自己脂肪由来間葉系幹細胞による点滴療法」を行っています。
正式に認可を受けた第二種再生医療になります。
※)自己脂肪由来間葉系幹細胞
更年期障害に対する自己脂肪由来間葉系幹細胞による点滴療法(再生医療第2種):計画番号 PB3160029
自己脂肪由来間葉系幹細胞による点滴療法の詳細はこちら →
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