実は幹細胞は配合されてない?
人気の「幹細胞コスメ」とは

コスメ 幹細胞

ドラッグストアや通信販売などで最近見かけることが多くなってきた「幹細胞」と名のつく化粧品類。特に美容液やクリームなどの基礎化粧品に冠されており、商品価格も高額なものが多いようです。幹細胞と聞くと、再生医療の治療に使われる幹細胞を思い浮かべますが、果たしてこの化粧品類に幹細胞が配合されているのでしょうか? またどんな効果が期待されているのでしょうか。

今回はこの幹細胞コスメについて詳しく解説します。

そもそも再生医療の「幹細胞」とは?

幹細胞とは、自らと同じ細胞を分裂して生み出す能力と、他の細胞に変化(分化)する能力の2つを合わせ持った細胞のことです。私たちの身体を健全に保つために、常に細胞を入れ替えたり(新陳代謝)、ダメージを受けた部分を修復する際に働きます。

再生医療で利用される幹細胞は、そのほとんどが「体性幹細胞」と呼ばれるものになります。これは人間の身体に存在して、筋肉や骨、肌など決まった部位に変化(分化)する細胞のことです。再生医療では、この体性幹細胞を培養して薬として使用することにより、身体全体のエイジングケア、アトピー性皮膚炎、疼痛治療などを行っています。幹細胞には、傷ついた組織の修復や、抗炎症機能、異常な免疫抑制機能などがあると考えられており、幹細胞を増やして体内に戻すことで活性化を図り、上記のようなさまざまな症状の改善を目的としています。

ちなみに皮膚には、表皮層に表皮幹細胞、真皮層に真皮幹細胞が存在しています。表皮幹細胞はターンオーバーを、真皮幹細胞はコラーゲンやヒアルロン酸などの生み出す働きにそれぞれ寄与しており、増殖と分化をくり返しながら皮膚の新陳代謝を行っています。

「幹細胞コスメ」に期待される目的とは?

そもそも「幹細胞コスメ」は何故こんなに人気なのでしょうか。

幹細胞を使用した治療の目的には「衰えた機能の回復」や、「組織の若返り(エイジングケア)」があります。それに伴い、幹細胞コスメもエイジングケアを目的としているものが多く見受けられます。

流行の再生医療研究を応用して生み出された— そんなイメージが先行して、“なんだかよく分からないけど凄そう”“この化粧品を使うと若返りそう”といった期待感をもってしまう人も多そうです。先に述べたように、単品でも高額(10,000円〜30,000円の価格帯)で、またパッケージもゴージャスな物が多く見受けられます。中には人間由来の幹細胞である「ヒト幹細胞」と銘打っているものもあり、ますます強力な効果が得られるのではないかと期待してしまいます。

化粧品に配合されている「幹細胞」とは?

それでは、化粧品にはヒト由来の「体性幹細胞」が配合されているのでしょうか? あるいは皮膚に存在する「表皮幹細胞」や「真皮幹細胞」が配合されているのでしょうか?

 

その答えはNOです。

「幹細胞コスメ」には幹細胞は含まれていません。そもそも幹細胞を扱う企業や医療機関には国の認可が必要で、手軽に化粧品に成分として配合することはできません。

また、厚生労働省が定める「医薬品医療機器等法」の第2条3項によると、「化粧品」とは、人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え、又は皮膚若しくは毛髪を健やかに保つために、身体に塗擦、散布その他これらに類似する方法で使用されることが目的とされている物で、人体に対する作用が緩和なものをいう、と定められています。

例えば加齢によるシワが消える、たるみが解消される、マイナス10歳若返る…など、人体に対する作用が強力な効果が得られるものは、そもそも使用できませんよと国から規制をされているのです。

それでは「幹細胞」とは何を指すのでしょうか? 実は化粧品に配合されている「幹細胞」とは「幹細胞エキス」のことを指します。これは幹細胞培養上清液と呼ばれる、幹細胞を培養した液体から細胞を取り除いた、培養液の上澄みです。

幹細胞を取り除いてしまった培養液には、幹細胞が分泌したさまざまな成長因子や免疫調節因子など、500種類を越える成分が豊富に含まれています。ターンオーバーを促してシミやくすみのない肌へ導くEGF(上皮細胞成長因子)や、真皮線維芽細胞に働きかけてハリや弾力をもたらすFGF(線維芽細胞成長因子)など、若々しい肌にとって必要な多数の成長因子を含有しています。この幹細胞培養上清液を配合した化粧品が「幹細胞コスメ」なのです。

化粧品が浸透するのは、表皮からわずか0.02mm下の角質層まで

素晴らしいエイジングケア成分を含む幹細胞培養上清液ですので、化粧品に配合されるとさぞかし効果を発揮するのでは? と期待が膨らみますが、実はそうでもありません。

まずは浸透の問題です。肌にはバリア機能があり、一般的な化粧品はほぼすべて表皮までしか浸透しません。さらに化粧品の基準は前述の「医薬品医療機器等法」に定められているとご説明しましたが、その作用がどこまでなのかも定められています。肌表面からわずか0.02mmの薄さしかない角質層までの浸透に広告表現は限られているのです。

次に濃度の問題です。幹細胞培養上清液が何パーセント配合されているかはメーカーの企業秘密となりますが、多いか少ないかは調べる方法があります。パッケージの裏側に全成分が表記されている場合、幹細胞培養上清液が何番目に記載されているかを確認してみてください。全成分表示は配合量の多いものから記載するというルールがありますので、たとえば最後の方に記載されているのであれば、配合量がものすごく低いことが伺えます。過去に美肌成分であるコエンザイムQ10が登場した時に、上限配合濃度は0.03%でした。これでは、例え顔にたっぷり塗布したところで効果が期待できるかどうか疑問ですよね。

本当の幹細胞パワーを体験できるのは、再生医療だけ

幹細胞培養上清液を使って美肌になりたいと思っている方には、美容クリニックで施術を受るという選択肢もあります。

例えばクリニックの美肌治療では、この幹細胞培養上清液を作用する真皮層まできちんと肌に届けるために、微細な医療用針のついたローラーで肌に穴を開けて浸透を叶えます。また、点滴や点鼻などの医療技術を用いて体内に巡らせることも可能です。化粧品とは異なるパワーを体験してみてはいかがでしょうか。

当クリニックでは、幹細胞培養上清液を使用した美肌・エイジングケア・毛髪再生治療を行っています。

※)幹細胞培養上清液
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