最近耳にする「肌再生医療」というワードですが、実際にどんなことを行っているのかご存じですか? 通常の美容医療とは一線を画すエイジングケアであるこの治療は、主に自分の細胞を増殖させて利用するのです。
それには、どんな細胞を使うのでしょうか? そしてなぜ増殖させるのか?
このコラムでは、細胞の「増殖」について詳しく解説を行います。
肌再生医療に使われる細胞とは?
肌再生医療の代表的な治療に「線維芽細胞移植」があります。これは、ご自身の身体の一部から、ほんの少しの組織と血液を採取し、「線維芽細胞」と呼ばれる肌の若々しさのカギを握る細胞を抽出し、増殖させてふたたびご自身の肌に移植する治療です。
そもそも「線維芽細胞」とは、人間の皮膚の真皮と呼ばれる部分に存在し、ハリや弾力のもととなるコラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸をつくりだす細胞のことです。加齢やダメージにより「線維芽細胞」が減少して働きが弱くなると、シワやたるみなどの老化現象が現れます。そのため、この細胞を増殖させれば、若い頃のようなハリと潤いに満ちた肌に若返ると予測され、この治療が生まれました。
実際に治療を受けた方からは、一部だけではなく顔全体が若返ったというお声が寄せられています。
では、具体的にどんな治療内容を行うのか具体的に見てみましょう。
治療の流れ
STEP-1 無料カウンセリング
医師がお悩みなどを聞き取りながら、肌の状態をしっかりと診断します。肌再生医療と施術内容については、特に詳しく説明を行います。
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STEP-2 血液検査
この治療は、以下の5項目の病気に罹患している方は受けることはできません。そのため、事前に血液検査を行って調べます。
(1) 梅毒
(2) B型肝炎
(3) C型肝炎
(4) エイズ
(5) ヒト白血病ウィルス
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STEP-3 皮膚採取
血液検査の結果が出る約1週間後から、次のステップに進むことができます。
細胞を培養するために、米粒大の皮膚を耳の裏から採取します。麻酔を使用するため、痛みの心配がありません。さらに細胞培養に使用する血液を採取します。
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STEP-4 細胞培養
特定細胞加工物製造事業者(厚生労働省認可施設)にて、採取した皮膚から「線維芽細胞」を抽出します。
その後に「線維芽細胞」を、約10,000倍に増殖培養します。培養が完了するまで5週間程度の時間がかかります。
※ご希望により、3回分の培養細胞を凍結保存する「細胞バンキング」も可能です。数年〜数十年後に同じ移植を受ける際に、保管した若い細胞を使用することができます。
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STEP-5 線維芽細胞移植(1回目)
皮膚採取から約5週間後に、約10,000倍に培養した「線維芽細胞」を肌に移植します。ほうれい線やシワ、たるみなどが目立つ部位に注射を用いて注入します。大量の「線維芽細胞」は、移植直後から衰えた肌組織を修復しはじめます。
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STEP-6 線維芽細胞移植(2回目)
2週間後にふたたび「線維芽細胞」を同じ部位に移植します。2回続けて移植することで、細胞の定着をより良くすることができます。
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STEP-7 無料検診
移植してから数ヵ月後に無料検診が受けられます。医師が経過について説明します。
細胞培養施設について
細胞の増殖培養は、特定細胞加工物製造事業者と呼ばれる、専門の細胞培養を行うラボで行われます。
この施設は正式なプロセスを踏襲し、厚生労働省に第二種再生医療等提供計画を提出し、計画番号を取得した医療施設です。認可は無菌操作可能な設備・細胞に適した温度と湿度を保つ設備・細胞を育てるのに必要な培地(培養液)や薬剤を保管する設備・細胞を凍結保存する設備・細胞観察をして記録する設備・各種の細胞検査を行う設備が必要となります。
ここでは専任の細胞培養士が、預かった「線維芽細胞」を育てています。耳の裏から採取したほんの少量の組織から、約5週間かけて約10,000倍に培養します。細胞は多ければ多いほどよいというわけではなく、質が低下しない程度の数で、発育の良い細胞を適量増やします。万が一、培養の途中で細胞に異変が見られた場合は、培養を中止し、ふたたび組織を採取し直します。
さらに同じ施設では、「線維芽細胞」をマイナス196℃のタイムカプセルで保管することも可能です。
高齢者の「線維芽細胞」は、培養速度が遅く、分裂寿命が短くなっています。そのため、年を取ってから採取した細胞よりも、より若いときに採取した細胞の方が、格段に効果が高まることが期待できます。28歳の時に採取した「線維芽細胞」を、45歳の時に移植することも可能なのです。
細胞を増殖させる理由
〈美肌成分の生成量を高める〉
先述のように「線維芽細胞」は年齢を重ねるごとに減少していきます。そのため、コラーゲンやヒアルロン酸、エラスチンを生み出す力もだんだん弱くなり、シワやたるみができてしまいます。肌の内部で再び活発にコラーゲンやヒアルロン酸、エラスチンを生み出すためには、ご自身の「線維芽細胞」を若い頃と同じ量に増やすことが必要となります。そこで、「線維芽細胞」を増殖培養する必要がでてくるのです。
〈若返り効果の持続目的〉
加齢した部位に直接コラーゲンやヒアルロン酸を注入する従来の美容医療では、成分が半年〜1年で体内に吸収されるため、効果が持続しません。ご自身の「線維芽細胞」であれば、肌そのものが本来の若さを取り戻しつつ、体内に吸収されることがなく、長期的な効果継続が期待できます。
いかがでしたか? 自分自身の細胞で若返る肌再生医療において、「増殖」は治療の重要なステップであることがご理解頂けたと思います。
※)線維芽細胞移植はこちら
自家培養真皮線維芽細胞移植術(再生医療第2種) :計画番号 PB3170025
線維芽細胞を使用した治療はこちら →
再生医療は厚生労働省に認可されたクリニックと特定細胞加工物製造事業者で
「線維芽細胞移植」を行うクリニックやラボは、再生医療施設として厚生労働省からの認可が必要となります。なかには無認可で肌再生医療を行うクリニックもありますので、治療を受ける前にそのクリニックのホームページなどで、認可されているかどうかを確認することが重要です。
ナチュラルハーモニークリニック表参道は認可クリニックです
ナチュラルハーモニークリニック表参道では、「再生美容」として「線維芽細胞」を用いたエイジングケア治療をおこなっています。「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」を遵守し、再生医療第2種の提供計画書が受理されています。