「コラーゲン」が美肌保持に欠かせないことは今や常識と言っても過言ではありません。一般的にも美容や健康のために積極的にコラーゲンを取り入れている人が増えているのは、近年の販売商品の種類の多さからも、販売額の伸びからも推測できます。しかし、具体的にコラーゲンがどんな物質で、どんな働きをしているのか、なぜ美容のために必要なのか充分に理解できていないまま取り入れている人もいるのではないでしょうか? コラーゲンを知ってコラーゲンを再生する方法を考えてみませんか?
コラーゲンって、何?
人間の身体は7割が水分、そして2割がタンパク質で構成されています。そのタンパク質の中で3割を占めるのがコラーゲンです。タンパク質によって肌や髪、皮膚や筋肉、臓器といったものが作られます。タンパク質の中でコラーゲンは細胞同士を繋げ、支える骨組みのような役割があります。細胞は骨組みがないと生存できないため、非常に重要な成分といえます。
コラーゲンはどこに?
コラーゲンのうち40%は皮膚に、20%は骨や軟骨に、そして残りは血管や内臓に含有されています。コラーゲンは全身にとって非常に重要な働きをしますが、ことに肌には全体の4割もの量が含まれているため、コラーゲンの増減が肌に大きな影響を及ぼすことになります。
肌にとってのコラーゲンの役割
肌は大きく分けると、外に出ている表皮と表皮を支える真皮に分けられますが、厚さ2ミリしかない真皮の7割を占めているのがコラーゲンです。コラーゲンとエラスチンが繊維状に張り巡らされ、その隙間を埋めるのがヒアルロン酸です。伸縮性がなく頑丈なコラーゲンが肌を支えることで肌にハリを生み出しています。これらの成分が減少してしまうと肌に弾力がなくなり、たるみやシワといった肌老化を招きます。
減少するコラーゲン
コラーゲンは常に新陳代謝して入れ替わっていますが、その総量は40代を迎える頃にガクンと減ります。本来ならば真皮にある線維芽細胞がコラーゲンやヒアロルン酸を生み出してくれるはずが、線維芽細胞自体もその総量を半分以下にまで減らし、コラーゲンを生み出す量もほんのわずかになってしまいます。減少してしまう理由は、加齢はもちろん、ストレスや不規則な生活習慣、紫外線によるダメージの蓄積など多岐に渡っているため、減少を止めることが難しいのです。
そこで、自分の力だけでは生産されづらくなったコラーゲンを外側から補充すべく、多くのコラーゲン商品が販売されるようになりました。
活発なコラーゲン市場
コラーゲンと名がつく商品は、ドラックストアだけでなく通常の食料品店でも当たり前に手にすることができます。飲料、粉末、サプリ、コラーゲン入り食品、コラーゲン入り化粧品とその種類も多く、2017年度はコラーゲンペプチドの販売数が過去最高販売数を記録したとの調査結果もあります。(*健康産業流通新聞)コラーゲン化粧品として肌に補えたり、食品として気軽に体内に摂取することができたら、非常に手軽です。
ただし、勘違いしてはいけないのは、取り込んだコラーゲンがそのまま肌に届くわけではないということです。体内に入ったコラーゲンは、いったん分解され、線維芽細胞にコラーゲンを生産させるきっかけを作るに過ぎません。当然効果を実感することができる人も、できない人も出てきます。また効果を実感したいとたくさんコラーゲンを摂取しても一定量を超えると体外に排出されてしまいます。
美容外科でコラーゲンを取り込む
確実にそのままコラーゲンを肌に届けたいならば美容医療の力を借りることもできます。注射によるコラーゲン注入は真皮に直接コラーゲンを取り込むため、肌の弾力を与え、ハリ、シワ改善に大きな効果を上げます。しかし、時間とともに吸収されるので定期的に同じ施術を繰り返す必要があるのが難点です。加えて、アレルギーも皆無ではないため、事前のアレルギーテストも必要です。レーザーなどの照射系の治療でも線維芽細胞を刺激してコラーゲンを増殖させることが期待できます。あくまで刺激なので実感できるまでの効果には複数回の施術が必要です。
そこですべての問題を解決すべく現れたのが、肌再生医療です。肌再生医療とは、自分自身の細胞や血液を使用し、繊維芽細胞に直接アプローチする方法です。肌再生医療には線維芽細胞療法とPRP療法の2種類があります。
線維芽細胞療法
自身の皮膚をほんのわずか採取して、そこから線維芽細胞を取り出し、培養・増殖後、再び老化が顕在化した場所に注入し直します。線維芽細胞自体を肌の真皮に直接届けるため、コラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸を補うのではなく、自分の細胞がそれらを再生させます。持続期間も数年単位と長く、数ヶ月単位に施術を繰り返す必要もありません。
PRP療法
自身から採取した血液を遠心分離機にかけて、成長因子が多く含まれているPRP(多血小血漿)のみを取り出し、年齢の気になる場所に注入する方法です。成長因子が注入されることで、線維芽細胞、コラーゲンなどの再生が望めます。
コラーゲンという必要な成分を外から補うには、何かと解決すべき問題もあります。しかし、再生医療ならば、使用するのは自分の細胞や血液のため、アレルギーや拒絶反応の心配も減ります。分解されるような遠回りもなく、数ヶ月後には吸収されて跡形もなくなることもありません。新たなるコラーゲン再生が叶います。
しかし、まだまだ新しい治療です。施術できる医療機関は厚生労働省に認可され計画番号を取得したクリニックのみに限られていますが、認可外のクリニックが行なっていることもあります。安全な施術のためにも充分に確認することおすすめします。
コラーゲンは、細胞を支える重要な働きがありながらも、年とともに減少してしまいます。しかし、今では再生美容という考え方に基づいた治療法があります。減っていくコラーゲンをただ残念に思うだけでなく、望めば再生することも叶うこと、知っておくだけで美容面では心強いことです。