年令を重ねると、鏡に映る自分、写真に写った自分の姿にがっかりすることが多くなりがちです。おしゃれをしてメイクを頑張ってみても目につくのは、シワが増え、なんとなく老けてしまった自分の姿。日々少しずつ、でも、確実に老いを重ねていく自分の肌時間を止めておき、できれば少しだけでも巻き戻すことができたら。多くの女性にとって、見た目年齢を少しでも若くしたいというのは永遠のテーマではないでしょうか? そんな肌年齢に大きな影響を与えているのが線維芽細胞という細胞です。コラーゲンやヒアルロン酸を産み出す重大な役割を持つ線維芽細胞とは、いったいどんな細胞なのでしょうか?
肌年令を左右する線維芽細胞とは
私たちの肌にハリや弾力を与えているのはコラーゲンやヒアルロン酸、エラスチンです。これらを作り出す元になっている細胞が線維芽細胞です。この線維芽細胞の働き次第で肌年齢が大きく左右されると言えます。
線維芽細胞はどこにある?
線維芽細胞は結合組織を構成する細胞で、擦り傷、切り傷などができると線維芽細胞が欠損部を修復する働きをします。全身の結合組織にある重要な細胞ですが、エイジングケアにとっても重要な働きをします。皮膚は、表皮、真皮、皮下組織の3層に分かれていますが、線維芽細胞は、真ん中の層、真皮に存在しています。
線維芽細胞の役割
真皮にはコラーゲン、エラスチンといったたんぱく質の繊維、ヒアルロン酸といった保水成分で形成され、肌の表皮に弾力性を与えています。これらの成分を作り出すのが、線維芽細胞の役割です。線維芽細胞の働きが悪くなると、コラーゲンやエラスチンが作り出されなくなり、肌に弾力がなくなり、ヒアルロン酸がなくなることで肌の潤いがなくなります。それが原因で肌にはシワやたるみが発生してしまうのです。
線維芽細胞が減る原因
残念ながら線維芽細胞は、加齢とともに減っていきます。また、紫外線やストレス、生活習慣の乱れ、喫煙などの影響も受けやすく、それらの刺激により線維芽細胞が傷つき、働きが悪くなってしまうのです。
線維芽細胞を守るためにできること
大切な線維芽細胞を守るために、紫外線の対策を行い、適度な運動、良質な睡眠、そして細胞を活性化させるビタミンCなどの有効成分を摂取し、心身ともに健康な状態を保つことが良質な細胞を生み出すことにつながります。しかし、それは今ある線維芽細胞を守り、活性化するためには重要なことですが、細胞の数自体を増やすまでの効果は、なかなか望めません。
「もっと線維芽細胞を活性化させたい」「細胞の数自体を増やしたい」生活習慣の改善や栄養補給だけでは叶えられないそんな願いには、美容整形外科が強い味方になってくれます。
働きが悪くなった線維芽細胞を活性化するには
これまでシワに対してはヒアルロン酸注入による改善が多く用いられてきました。シワの溝に外からヒアルロン酸を注射で補う方法ですが、次第にヒアルロン酸は吸収されていき、数ヶ月から半年で元の通りに戻るのがネックでした。しかし、線維芽細胞自体を補うことができれば、ヒアロルン酸もコラーゲンも自分の力で新しく再生させることができます。外側から物理的に補充するのではなく、内側から自分の力で再生するのです。肌再生医療では、それらのことが叶うようになりました。その方法は2種類あります。
線維芽細胞療法
自身の肌から線維芽細胞を抽出し、細胞培養センターで増殖、培養したのち、年齢の気になる箇所へ線維芽細胞を注入する療法を「線維芽細胞療法」と言います。細胞培養された線維芽細胞を移植すると細胞の働きが活性化され、コラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸の生成が活発になり、肌の内側から自然とふっくらハリのある肌へと変えてくれます。施術後すぐに変化するのではなく、気がついたら自然とハリのある素肌に戻っているという、治療過程をたどります。
PRP療法
自身の血液を採取したのち、遠心分離機で多血小板血漿(PRP)を取り出します。その後、加齢の気になる部分に再び注入する療法が「PRP療法」です。PRPには成長因子が多く含まれているので、その成長因子の働きを利用して、コラーゲンの生成を促します。
これらの治療法は、自身の線維芽細胞や血液を採取し、再び使用します。自分の細胞や血液を利用するため、拒絶反応やアレルギーなどの問題も大きく減らすことができます。
細胞が蘇るから、効果が持続する
これまでも線維芽細胞を刺激することによって、コラーゲンなどを再生させるレーザー治療や電磁波治療もありました。しかし、肌再生医療は、細胞自体を補充することにより自分のコラーゲンやヒアルロン酸が活性化し、自然と肌のハリやみずみずしさを蘇らせてくれます。これまでの対処療法とは根本的に異なる点は、細胞が増えることによって、ゆっくりと、そして長く一過性でない若返り効果が望めることです。
また、一度採取した線維芽細胞に関しては、細胞培養センターで細胞培養後、保存もしてもらえます。よって、細胞を摂取した年の細胞を10年後も20年後でも好きなタイミングで注入できるので、もともと長い治療効果を継続的に保つことができます。
治療費に関しては、各クリニックによって異なりますが、細胞培養センターでの細胞保管費もかかり、総額ではかなりの治療費がかかります。比較的お手頃な価格で受けられるのは、細胞を培養する必要がない「PRP療法」です。「PRP療法」実践後、効果を実感したら、「線維芽細胞療法」に移行する方法もあります。しかし、重要なのは費用もさることながら医師の腕前と言えます。
クリニックを選ぶ際には
施術できる場所が限られている肌再生医療ですが、成功の秘訣はクリニック選びにあると言っても過言ではありません。肌再生医療が行えるクリニックは、再生医療、第二種・第三種再生医療など計画番号を取得しているクリニックでなければなりませんが、残念ながらそうでないところも多数存在しています。計画番号を保持している、症例数の多いクリニックを基準に選ぶ必要があります。
また、線維芽細胞を移植する場所はどこでもいいというわけではありません。理想的な仕上がりになる場所への注入には、審美眼が求められ、その上で繊細なテクニックで実現できる高度な技術も併せ持つドクターがいてこそ満足いく仕上がりが望めます。
再生美容はまだまだ新しい分野です。数多いクリニックの中から、本当に再生医療に精通したクリニックを見つけましょう。