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幹細胞を保管することのできる「細胞の銀行」、幹細胞バンクとは?

培養 幹細胞


再生医療研究において主役となる「幹細胞」。iPS細胞、ES細胞、そして体性幹細胞を、研究や臨床応用に迅速に使用するために、世界各地で「幹細胞バンク」が設立されています。もちろん日本も例外ではありません。この「幹細胞バンク」について詳しく解説します。

そもそも幹細胞とは?

幹細胞とは、様々な細胞を生み出す能力をもった特別な細胞のことです。私たちの身体の中にも存在し、皮膚や血液のように、絶えず細胞が入れ替わり続ける組織を保つために、失われた細胞を生み出して補充する能力をもっています。

幹細胞には、自己と同じ幹細胞が増殖する【自己複製能力】と、他の組織細胞に変化する【分化能力】の2つの能力が備わっています。

幹細胞の種類

幹細胞には、どのような細胞でも作り出すことのできる「多能性幹細胞(Pluripotent Stem Cell)」と呼ばれるものと、筋肉や骨、血液などを作り出す「成体幹細胞(Adult stem cell)」があります。

前者の自然な形態は受精卵であり、これを実験研究用に人工的に応用して作り出された「胚性幹細胞(ES細胞)」や、体細胞に遺伝子を導入して作られる「人工多能性幹細胞(iPS細胞)」などがあります。

後者には、骨髄にある「造血幹細胞」や、脂肪組織から得られる「脂肪由来間葉系幹細胞」などがあります。

ふたつめは、他の組織細胞に変化する【分化能力】です。幹細胞は必要に応じて、他の組織細胞に変化することができるのです。

幹細胞の臨床応用

現在の日本では、国や研究機関、医療機関が綿密に協議しながら、iPS細胞やES細胞の臨床応用が始まっています。iPS細胞では、2014年に患者自身のiPS細胞由来の網膜色素上皮(RPE)細胞のシートを移植する滲出型加齢黄斑変性の手術が行われました。さらに2018年には、京都大学医学部付属病院にて、iPS細胞由来のドパミン神経前駆細胞をパーキンソン病の患者に移植する治験が行われました※。このiPS細胞は、京都大学iPS細胞研究所で作られた「再生医療用iPS細胞ストック」から提供された細胞を使用しています。

この「再生医療用iPS細胞ストック」こそ幹細胞バンクの一形態であり、さらに単に幹細胞を保管するだけでなく、健康なドナーから提供された細胞からiPS細胞を作りだし、再生医療に使用可能なiPS細胞株を保存するという先進の施設になります。

https://www.cira.kyoto-u.ac.jp/j/pressrelease/news/180730-170000.html

幹細胞バンクとは

このように、幹細胞を培養・保管する施設は「幹細胞バンク」と称されます。

上記の京都大学iPS細胞研究所は治療用幹細胞バンクの先駆けであり、幹細胞の先駆者である山中伸弥教授が、研究の遅滞を解消するために2012年頃より構築を提案したものです。このような研究機関は国内にも他にあり、熊本大学発生医学研究所・国立成育医療センター・京都大学再生科学研究所などが、それぞれヒトES細胞やヒトiPS細胞などを培養して株化細胞にして保管しています。

また、幹細胞の分譲を行っている公的な細胞バンクに、理化学研究所バイオリソースセンターや医薬基板研究所などがあります。その他には、難病研究資源として収集された患者の試料を一貫して保管し、データベース化したり、研究者や製薬会社の求めに応じて分譲する「難病研究資源バンク」や、再生医療や創薬のための「研究用臍帯血(さいたいけつ)幹細胞バンク」、日本赤十字社による「造血幹細胞バンク」などがあります。

さらに、上記のような公的な機関とは別に、民間企業によるプライベートな「幹細胞バンク」も存在します。こちらは、本人や家族の病気の治療のために、現在はまだ医療技術としては確立されていない医療に将来利用するために、幹細胞を保存してもらう事業者のことを指します。

幹細胞培養について

幹細胞を保管、あるいは臨床応用を行うために、幹細胞を医療機関で採取したのちに増殖培養を行わなければなりません。例えば民間の幹細胞バンクでは、施設に持ち込まれた幹細胞(脂肪由来幹細胞培養や歯髄由来幹細胞、iPS細胞など)は、ウィルス検査などを経て、患者本人の血清を用いた培地で培養されます。

幹細胞の保管方法

培養加工された幹細胞は、マイナス196℃で保管されます。

幹細胞を保管することで、例えば健康な状態の幹細胞を、将来の疾患やケガによる治療で必要になったときに応用することができます。いわば時間を超えたタイムカプセルであり、将来のリスクに備えることが可能になります。

幹細胞バンクは認可された事業者のみが行えます

以前、経営破綻した臍帯血プライベートバンクから流出した臍帯血が販売され、国に無届で違法な再生医療やがん治療に使用されるという事件が起こりました。

再生医療を行う医療機関には、再生医療等の安全性の確保等に関する法律により厚生労働省に届け出が必要となります。幹細胞の培養や保管を行う施設も同じく、「特定細胞加工物製造事業者」としての認可が必要となります。

もし、自分の幹細胞を預けたいと考えているならば、幹細胞を採取する医療機関や、幹細胞を保管する幹細胞バンクが、国に認可されているかどうか一度リサーチすることをおすすめします。

幹細胞バンクのご案内

当クリニックでは、ご自身の脂肪細胞を採取して幹細胞を増殖・活性化を行い、点滴で投与して生体機能の向上を図る再生医療「自己脂肪由来間葉系幹細胞による点滴療法」を行っています。その際に、採取した幹細胞を保存する「幹細胞バンク」メニューも取り扱っています。興味のある方は、お問い合わせください。

※)自己脂肪由来間葉系幹細胞

更年期障害に対する自己脂肪由来間葉系幹細胞による点滴療法(再生医療第2種) :計画番号 PB3160029

自己脂肪由来間葉系幹細胞による点滴療法はこちら →

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