思春期の頃ならいざ知らず、大人のニキビは何とも不快な症状です。「中年期になっても繰り返しニキビができる」「ニキビ跡が治らない」など、ストレス多発時代の昨今、大人でもニキビに悩む人は増加しています。原因もたどる経過も10代のものとは大きく異なり、治りにくく炎症を起こしやすい大人ニキビ。これまではニキビが跡になってしまったら、たとえ医療機関にかかってもキレイな肌に戻すことはたいへん困難でした。
しかし、注目の肌再生医療ならば、今まで諦めるしかなかったデコボコになった肌も再生するチャンスがあります。
大人のニキビ、原因は?
思春期の頃のニキビはホルモンバランスの変化によって、皮脂が過剰に分泌することが原因で発生し、成長とともに数年で自然に落ち着きます。それに比べて、大人のニキビも根本は皮脂の過剰分泌に他なりませんが、そこに至る原因は複雑で、治りづらく、長期間繰り返すことも特徴です。調査によるとニキビに悩む人の20%以上が10年以上改善されない状態であることがわかりました。
*参考資料 マルホ株式会社「ニキビに関する意識と実態 47都道府県調査 」
:https://www.maruho.co.jp
生活習慣の乱れ
不規則な生活、食生活の乱れ、ストレス、疲労など生活習慣の乱れが大きな原因になります。仕事、家事、育児、介護など忙しい毎日の中で、本来なら28日周期で訪れる肌のターンオーバーが乱れて皮脂が過剰に分泌することでニキビが発生します。脂っこい食事なども原因になります。
乾燥
思春期の頃はオイリー肌の人に発生しがちだったニキビですが、大人になると乾燥が原因になることが多くなります。乾燥の影響でバリア機能が低下してニキビに繋がります。
いずれも、様々な原因から肌にダメージが加わり、それを補うための肌の調整機能が追いつかないことがニキビを引き起こしています。放置していたままでも治ることが多かった若い頃とは違い、ニキビは長期化しやすく、間違った自己流ケアを続けてしまうと炎症を起こすことも、最終的には肌がへこんでしまう、いわゆる「クレーター肌」になってしまうこともあります。
なぜ、ニキビが跡に?
ニキビをつい潰してしまうこともありますが、それはニキビ跡になる原因の一つです。手には様々な細菌が付着しており、傷口から細菌が皮膚組織に入り込むことによって炎症を起こします。またその際周辺の皮膚組織も同時に傷つけ、炎症はさらに広がりがちです。
他にも、良かれと思い過剰に洗顔したり、油分を避けるため乳液を省くなど間違ったスキンケアなども炎症につながります。
ニキビの炎症には赤みが出る、色素が沈着してしまう、肌がクレーターになるなどの様々な症状があります。肌は大きく分けると二層に分かれていますが、表の部分である表層に傷ができると赤みや、色素沈着を起こします。この段階ならば、肌のターンオーバーさえ正常に行われていれば時間の経過とともに解消されることも多く、医療機関では、有効な改善法も多種あり改善しやすいと言えます。
しかし、ここで正しい対処をできずにいたニキビは長期化し、その下の層真皮層にまでダメージが届き、炎症の影響で真皮内のコラーゲンなどの成分が破壊されてしまいます。その修復過程で肌がデコボコとクレーター状になる目立つニキビ跡へと変わります。
真皮層はターンオーバーしないこともあり、一旦デコボコしてしまった肌は日頃のケアでは回復することはほとんどありません。
デコボコニキビ跡、どうすればいいの?
自分でできる対策としては、これ以上ニキビができるのを繰り返さないよう生活習慣を見直すことが大切になります。体を内側からケアするためにも、食事内容の改善は必須と言えるでしょう。肌の再生に必要なたんぱく質やビタミン類をバランスよく摂取し、適度な運動と睡眠を心がけることで、正常な肌の新陳代謝、コラーゲンやヒアルロン酸といった新しい細胞の増殖を促すことができます。
これまでの美容医療では、ニキビ跡に悩む患者さんには、レーザーやピーリングといったアプローチで改善を図ってきました。
ニキビ跡改善のために、美容医療で行われてきた一般的な治療
・ピーリング
酸を肌に塗り古い角質を剥がし、新しい肌の再生を促します。
・導入治療
ピーリングと併用して行われることが多く、ビタミンなど肌に必要な栄養素を光振動によって導入する治療法です。
・照射治療
レーザーや光などを患部に当てることによって、肌の深部に働きかけ、再生に必要な細胞の活性化を促します。
他にも内服薬や外用薬もあり、症状に合わせてそれぞれの治療を組み合わせるなどの方法でニキビ跡を治療していました。しかし、これらの治療は表層には高い効果がありますが、真皮層にダメージを受けているデコボコしてしまった肌には、繰り返し気長に行う必要があり、肌に改善が見られる前に諦めてしまうという声もありました。そこで、美容医療では、肌を根本から改善する肌再生療法が行われるようになりました。
ニキビ跡の根本的解決を望むならば、肌再生療法
肌再生療法とは、自身の細胞や血液中に含まれる成長因子を抽出して培養後、老化やダメージが気になる箇所に再移植する方法です。自身の細胞や血液を使うので、アレルギーや副作用の心配もほとんどない上、自然に自分の力で肌の再生が望めます。肌再生療法には「線維芽細胞療法」と「PRP療法」があります。ニキビ跡の改善には線維芽細胞療法がより有効的になります。
線維芽細胞療法とは
肌の真皮にはコラーゲン、エラスティンといった肌の弾力を支えるタンパク質と潤いを与えるヒアルロン酸で構成されていますが、それらを作り出す細胞が線維芽細胞です。線維芽細胞さえ十分あれば、コラーゲンやヒアルロン酸がダメージを受け、肌にトラブルが起きようとも新しい成分を次々生み出し、肌に再びはりと弾力を与えてくれます。しかし、残念ながら線維芽細胞は加齢とともに減少していきます。大人のニキビ跡が治りにくいのは、線維芽細胞が減少してダメージを回復する力がないことにもあります。
線維芽細胞療法では、自身の線維芽細胞を採取したのち、専用の施設で培養・増殖して再びニキビ跡が気になる部分に注入します。増えて元気になった線維芽細胞が再びコラーゲンやヒアルロン酸を生み出し、デコボコしていた肌を内側からふっくら持ち上げてくれます。肌の表面層にアプローチする既存の方法とは違い、真皮層内部にアプローチすることで、ナチュラルで長期間の効果が叶います。
根本的完治が見込める肌再生医療ですが、厚生省が認可したクリニックのみが行える治療法で、施術を受けられるクリニックは限られています。施術を受けられる際は、不要なトラブルを避けるためにも、必ず認可を受けたクリニックか否か確認して行うようにしたいものです。