「あの頃の肌を取り戻したい。」多くの女性が願うのは、変貌や普遍的な美しさではなく、数年前の自分の肌や容姿に近づくことではないでしょうか?年齢を重ねた肌には、シワやシミが増えていき、時間の経過がはっきりと刻まれます。近年、様々な美容医療で注射やレーザー、外科手術でそれらを改善する方法も増えてきましたが、繰り返し施術を行う必要や、ダウンタイムの時間など解決すべき問題も多くあります。そこに彗星のごとく現れた治療法が「肌再生医療」です。肌再生医療の優位性を伝える前に、まずは肌のメカニズムについて見てみましょう。
肌はなぜ老化していくの?
そもそも肌は、なぜ時間の経過とともに老化していくのでしょう?
それは年齢とともに、もともと肌に備わっていた、肌細胞が減っていくことにあります。肌は大きく分けると表皮・真皮・皮下組織にわかれていますが、どの組織もそれぞれに肌老化が進んでいきます。
・表皮
表皮はさらに4つの層に分けられますが、1番底にあたる基底層で新しい細胞が作られ、28日かけて顔の表面にあたる角質層に届き、古い角質がアカとなりはがれ落ちます。これをターンオーバーといいますが、年齢とともに細胞が減ってしまうとターンオーバーのサイクルが少しずつ長くなり、シミなどが発生し、表面のキメも荒くなりがちです。
・真皮
真皮を構成するのは、コラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸など肌のハリに影響する成分ですが、これらを作り出してくれる線維芽細胞は、紫外線や乾燥の影響を受けたり加齢とともに再生機能が減退したりして減ってしまいます。細胞が減ってしまうことでコラーゲンなどが育成されづらくなり、結果肌のハリが衰えていきます。
・皮下組織
表皮と真皮を支える皮下組織は、ほとんどが脂肪細胞でできています。年齢を重ねると皮下脂肪が増えやすくなり、そのことが細胞分裂に悪影響を与え、新しい細胞を作りづらくしてしまいます。
年齢とともに肌を老化させていく原因は増えますが、最大の原因は細胞が減少することで、紫外線やストレスといったマイナス要因に負けてしまうことです。化粧水などで保湿することは重要なケアですが、細胞を増やす効果はありません。
減った細胞を肌再生医療で補う効果
これまで美容整形で行われてきた治療として、シワに対しては、自分では生産されにくくなったヒアルロン酸を外側から注入する方法が多く行われてきました。これらはシワを根本から改善するものではなく、シワでくぼんだ箇所にヒアルロン酸を注入し、溝を膨らませる対症療法です。注射をするだけと手軽で、一時的には効果が期待できますが、数ヶ月から半年で元の状態に戻るため、こまめな治療が必要でした。
しかし、加齢で減ってしまった線維芽細胞や成長因子が含まれる血小板(PRP)を肌に充填することができれば、コラーゲンやヒアルロン酸が再び生産され、ダメージを受けた肌組織が修復し始めます。皮膚の外側からではなく、皮膚の内側からシワに働きかける、根本的な改善を図ると言われているのが、肌再生医療です。
肌再生医療の最大の特徴は、自分自身の線維芽細胞や血液を使うことにあります。肌再生医療として行われているものには2つの治療法があります。
・線維芽細胞
患者さん自身から線維芽細胞を採取し、専用の施設(細胞培養センター)で細胞を培養、増殖し、気になる箇所に移植します。肌細胞が増えることで、コラーゲンやヒアルロン酸の生成が活発になり、ターンオーバーを正常化させ、自然にハリとツヤを蘇らせ若々しい肌へと導きます。持続期間も長く、一度採取した細胞を数年単位で移植しなおすことで、継続的な効果につながります。細胞を採取した年齢の若い細胞を10年後にも20年後にも注入することも可能です。
・PRP
PRPは患者さん自身の血液を採取したのち、遠心分離機で多血小板血漿(PRP)を取り出し、シワやシミなど気になる部分に直接注射します。PRPには、細胞を蘇らせる成分がある成長因子が含まれているため、コラーゲンの育成、表皮の成長などをサポートし、肌を活性化させます。線維芽細胞移植ほどの長期的な効果は望めません。
いずれも自身の細胞や血液を使うため、アレルギー反応や副作用といった、大きな心配事を減らすことができ、違和感がないままごく自然に自分の力によって肌の若返りが望めます。
一過性でない、若返りを実現させる
自身の細胞や血液を戻す、といった治療法は、今までのように皮膚の表面上に異物で隙間を埋め、体内に吸収されたら補充するという方法と違います。皮膚の内側から細胞を育成し若返らせるので、シワの埋まり方がごく自然なだけでなく、長期にわたり老化速度のスピードを緩めることも叶います。
また、従来ヒアルロン酸を注入する時は、ダウンタイムもネックになっていましたが、腫れもほとんどの場合、1〜3日で気にならなくなることが多いようです。ヒアルロン酸で心配だった不自然に膨らみすぎるようなこともありません。気になる施術の痛みに対しては、麻酔クリームを使用することで痛みを大幅に軽減させる方法もあります。
利点の多い肌再生医療は、医療関係者からも注目されており、実際に多くの医療関係者が自身の肌に施術を行っています。
何もかも理想的に思える肌再生医療ですが、当然その治療費用は高額になります。効果が高く望める線維芽細胞に関しては、細胞培養センターで細胞培養する費用、培養した細胞を保管しておく費用もかかり、まだまだ誰でもが行える治療法ではないかもしれません。肌再生医療に興味を持ったら、比較的治療費用が手頃なPRPから始めてみる方法もあります。そんな時、何より大切になってくるのが、クリニック選びです。
クリニック選びの重要性
認可を受けた専門の施設が必要な為、肌再生医療を行えるクリニックは限られていますが、その中でもクリニック選びは大変重要です。手間も技術も必要な肌再生医療は、肌再生医療の症例数が多く、本人の希望だけでなく、客観的な理想の仕上がりデザインを提案、実践してくれるクリニックを探す必要があります。
再生医療、第二種・第三種再生医療など計画番号を取得していないクリニックがあるのも事実です。取得しているクリニックを選ぶのは大前提ですが、見極めたいのは、施術してくれる先生との相性です。カウンセリングで納得できるまで話ができるか、どんな質問にも誠意を持って答えてくれるか、診療方針に共感できるか、技術だけでは補えない医師への信頼が、より良い治療結果を生みます。
「肌年齢を巻き戻し、そこで止めておく。」多くの女性が今まで求めても手に入らなかった美容の理想ともいえる、肌再生医療。肌再生医療で手に入れられるのは、ナチュラルな美しさだけでなく、前向きでハッピーな気持ちもかもしれません。日々の美容ケアにも再生美容という概念が常識となる日はそう遠くないのではないでしょうか。