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幹細胞を投与する方法は、点滴?移植?

幹細胞 治療

エイジングケアに興味がある人ならば、幹細胞療法の効果についてすでに耳にしているかもしれません。しかしこれまであったどんな治療とも異なる、細胞レベルから改善する幹細胞療法について興味深く思っても理解するのは難しいものです。幹細胞療法の具体的な治療方法と、幹細胞を投与する方法について詳しく見てみましょう。

再生医療における幹細胞の役割

幹細胞療法とは再生医療の一種です。再生医療とはどんな治療法のことを指すのでしょうか。再生医療は2014年に法律が設定されたほど新しい治療ですが、ケガや病気で失ってしまった機能を薬や治療で回復させるのではなく、身体の細胞の持つ再生力を利用して回復させる治療です。

幹細胞とは

そこで重要になるのが人体に備わっている幹細胞です。人体はもともと一つの受精卵が細胞分裂を繰り返し、莫大な数の細胞となって肉体を構成しています。その細胞が皮膚に、血液に、骨に、そして各臓器へなるのです。細胞には自分とまったく同じ細胞を作り出す自己複製能力と別の細胞を作り出す分化能があります。その能力を活かし、身体内の傷ついた細胞や、寿命がきた細胞の補充を行なって人体の機能を維持しています。すでに分化して体の組織や臓器になった細胞を「体細胞」、これから何らかの細胞になり補充を行う準備をしている細胞を「幹細胞」と言います。幹細胞の中でも代表的なのが間葉系幹細胞です。

間葉系幹細胞について

間葉系幹細胞の分化する種類は骨、軟骨、脂肪細胞など一定のものだけです。間葉系幹細胞は骨髄の他、皮下脂肪に多く含まれていますが、採取しやすく量も十分ある脂肪由来の間葉系幹細胞を現在多く使用しています。間葉系幹細胞は分化する細胞が限られているとはいえ、いろいろな細胞になり得ますので、再生医療には重要な可能性を持つ細胞と言えます。

自己脂肪由来幹細胞療法の持つ可能性について

体内の細胞はケガしたり、病気になったり、細胞の寿命がつきたりして、常に新しい細胞を必要としています。しかし加齢とともに幹細胞の総数は減っていきますので、損傷した細胞に対して、新しい細胞の数が足りない状態が起こります。補填する細胞が足りないままだとケガが治らない、肌にシワやシミができる、骨がもろくなったなどなど年齢を重ねるごとに多くの症状が起こりやすくなります。

しかし間葉系幹細胞を外から補充することができたなら、損傷した細胞の代わりとなり身体の調子を上げていくことが可能になります。具体的には、関節、皮膚、血管の若返り、糖尿病、歯周病、男女の更年期症状などにはすでに大きな効果を上げています。

今後は、肺や肝臓、腎臓、心臓の疾患改善、脳や脊髄の損傷改善なども幹細胞療法で改善できることを目指し、研究は続けられています。

自己脂肪由来幹細胞療法の方法

しかし幹細胞療法に興味を持ったとしても、実際どんな手順で治療を行うのか、どれくらい時間がかかるのか不明な点も多いかもしれません。基本的には最初に患者自身の皮下脂肪から脂肪細胞を採取します。部分麻酔をしたのちに行うので痛みは最初の麻酔の針を刺す時だけです。その後専用の施設で脂肪細胞の中から脂肪由来の間葉系幹細胞を抽出、培養してその数を増殖します。採取時間は短いものの、培養するのに3〜4週間ほどかかります。その後本人に再投与します。投与の方法は点滴で静脈に投与する方法と、悩みが気になる箇所に直接投与する方法があります。それぞれ一長一短があります。

治療部位に直接注射での投与

例えば変形性膝関節症ならば、直接ひざに幹細胞を注射する、シワ解消を目指して頬に注射する、発毛を期待して頭に注射するなど治療部位に直接注射する方法です。望むところに直接幹細胞を届けられますが、直接注射できる部位は限られています。また身体全体の調子を上げたい、全体的にエイジングケアしたいなどには向きません。

点滴での投与

静脈に点滴で届ける方法です。突出した悩みがある場合は、直接その部位だけに届けられるわけではありませんが、幹細胞は血流に乗り全身を巡ります。細胞が損傷している場所、不足している場所を自らパトロールし、患部を見つけると患部の組織の中でサイトカインを放出、細胞の修復を図ります。年齢を重ねたことによる不調は多くの場合一つだけではないので、点滴は効率よく、そしてスピーディーに幹細胞をいきわたせる効果があります。

医療機関の選択は非常に重要。過去にはトラブルも

肉体的負担が少なく、大きな効果が望める脂肪由来間葉系幹細胞療法ですが、受けることができる医療機関は厚生労働省が厳しい基準で認可し、第二種再生医療計画番号を取得したクリニックだけです。

「幹細胞」、「再生医療」という言葉だけがマスコミやインターネット上で一人歩きし、よくわからないまま類似品を幹細胞療法だと思いこむことも起こりがちです。過去には日本で未認可の幹細胞を使用しているクリニックの問題などもありました。厚生労働省の計画番号を取得していることは安全性の目安になります。安全性、効果を確保するためにもクリニックに訪れる際には、計画番号を確認するようにする必要があります。

またエステやコスメで話題になっている幹細胞培養液、動物系・植物系の幹細胞ともまったくの別物です。幹細胞培養液は幹細胞を培養した時に出る抽出液であり、当然ながら細胞を分化する効能はありません。動物幹細胞は拒絶反応などの問題から日本では使用されることはほとんどなく、植物性幹細胞は、抗酸化作用などを望めますが、ヒト由来の幹細胞とは根本的に違うものです。それらの商品を手にする時はヒト幹細胞とは根本的に違うことを十分理解しておく必要があります。

間葉系幹細胞を投与することが叶えば、全身の老化予防になるだけでなく若返ることすら夢ではありません。治療を受ける時は悩みに合わせて、投与方法を選ぶことでより効率よく効果を上げることができます。

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