再生医療に利用される「幹細胞」。実際に再生医療を検討したいと考えている方には、「幹細胞を用いた治療は、どのようなメリットがあるのか」「デメリットはないのか」など知りたいと思っているのではないでしょうか。
日本において、再生医療はまだまだ研究中の医療であるため、情報が日々更新されている状況ではありますが、現状報告されているメリットとデメリットを調べました。
使用される「幹細胞」の種類と、それぞれのメリット・デメリット
代表的な3種類の幹細胞
幹細胞とは、分裂して自分と同じ細胞を作る能力と、別の種類の細胞に分化する能力を持つ細胞のことです。なかでも、私たちの身体の中に存在する「成体幹細胞」、受精卵からつくられる「ES細胞(胚性幹細胞)」、皮膚細胞などの体細胞に4つの遺伝子を加えて培養した「iPS細胞(人工多能性幹細胞)」の3種類の幹細胞が、広く再生医療に応用されています。
3種類の幹細胞のメリット・デメリット比較
この3種類の幹細胞は、それぞれに由来や能力、倫理上の問題、臨床上の問題などに違いがあります。
以下に、その特性を表にしてみました。
現在受けることのできる再生医療に使用される「成体幹細胞」
現在、多くの再生医療機関で利用されている幹細胞が「成体幹細胞」です。
この成体幹細胞は、もともと私たちの体の組織に存在しており、死んだ細胞を補充したり、損傷した組織を再生する機能を持っています。ES細胞やiPS細胞のようにあらゆる細胞に分化するのではなく、決まった組織にしか分化しないと考えられています。
なかでも「間葉系幹細胞」と呼ばれる幹細胞は、骨芽細胞・脂肪細胞・筋細胞・軟骨細胞などへ分化する能力をもち、さらに免疫抑制作用も併せ持つことから、再生医療や免疫疾患の臨床応用が進められています。
期待される臨床応用の可能性
「間葉系幹細胞」のなかでも、脂肪から容易に・大量に採取できる「脂肪由来間葉系幹細胞」は、再生医療の応用が期待されています。病気やケガなどで失った細胞を新しく補う性質を利用して、さまざまな病気の臨床応用が進んでいます。
「脂肪由来間葉系幹細胞」のメリット・デメリット
それでは、「脂肪由来間葉系幹細胞」のメリットとデメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。2015年に開催された「ライフサイエンス委員会 幹細胞・再生医学戦略作業部会(第20回)」において発表された、体性幹細胞を用いた再生医療研究を実施している研究者からの主な意見※を、かみくだいてまとめてみました。
《メリット》
・培養しなくても治療に使える
・抗炎症効果や血管新生促進作用などの組織修復効果もあり
・臓器の障害や機能低下の修復を効率的に改善する
・腫瘍(がん)化のリスクが低く、安全性が高い
・採取や培養が簡単で、技術も確立している
《デメリット》
・単独で臓器や器官を形成することは難しい
・増殖させる際に、徐々に老化により増殖能力の低下が起こる
・コストが高額
※参照:http://www.lifescience.mext.go.jp/files/pdf/n1624_02.pdf
当クリニックの取り組み
このように、メリット・デメリットが挙げられる「脂肪由来間葉系幹細胞」ですが、2014年11月に施行された医薬品医療機器等法(改正薬事法)により、安全で品質が保全された治療できるよう明確な基準が示されました。
当クリニックで提供している「自己脂肪由来間葉系幹細胞による点滴療法」も、再生医療提供機関として厚生労働省から第二種の認可を受けています。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000186471.html
(再生医療等提供機関一覧/第二種/治療)
再生医療を受ける際は、こうしたメリットとデメリットを認識した上で検討してください。
※)自己脂肪由来間葉系幹細胞
更年期障害に対する自己脂肪由来間葉系幹細胞による点滴療法(再生医療第2種) :計画番号 PB3160029
自己脂肪由来間葉系幹細胞による点滴療法はこちら →
※サイトの料金表「自己脂肪由来間葉系幹細胞点滴療法(再生医療二種)」部分へリンク
https://natucli.com/price-list/